スバルXVはメーカーオプションとして「ルーフレール」を装着出来る。
後付け出来ないメーカーオプションなので、購入に悩むドライバーも多いことだろう。筆者もその一人だ。
筆者の場合は悩んだ末に、ルーフレールを装着しなかった。
理由は、雪下ろし時の不便さと洗車の支障になるなど、実用性に乏しいからだ。
ルーフレールの役割
あらためてルーフレールの役割について考えてみると、実はルーフレールは車の性能に重要な役割を担っているわけではない。
ルーフレールは、装飾品としての意味合いが強い部品なのだ。
ルーフキャリアを載せる際のベースになることもあるが、ルーフキャリアはルーフレールがなくても載せられる。
また、ルーフレールには荷重制限があり、ルーフレールを付けたからと言って、屋根の上に載せられる荷物の重量が増えるというわけでもない。
カタログを見る限り、スバルXVのルーフレールについての明確な荷重制限は見当たらないのだが、例えば、洗車時にルーフレールに手をかけて屋根を洗うというような使用は、基本的に出来ないはずだ。
ルーフレールの役割については、スバルXVに限らず、メーカーや車種を問わず、微妙な位置付けなのだ。
ルーフレールのメリット
ルーフレールを付けることのメリットは、見た目がカッコよくなることだろう。
特にSUVのようなカテゴリにある車種には、アクティブな印象が強くなる。
スバルXVも、ルーフレールを装着した車は、それなりにSUVっぽく見えるし、カッコよく感じる。
筆者のXVはルーフレールがついていない。
街で他人の運転するルーフレール付きのスバルXVを見かけると、SUVっぽいなーとかカッコいいなーと思うこともある。
しかし、ルーフレールのメリットなんて、その程度なのだ。
ルーフレールのデメリット
筆者は、若いころに、日産テラノというルーフレール付きのRV車に乗っていた経験がある。
その時に感じたのは、ルーフレールは使えねーという感想だ。
ルーフレール付きの車に乗っていた筆者の経験をお伝えしたい。
雪下ろしが面倒くさい
スキーやスノーボードなど、ウィンタースポーツを楽しむ人にとって、4WD車は心強い。
筆者も若いころは、毎週のようにスキー場に足を運んだ。
雪国に不慣れな人にはピンとこないだろうが、雪国が本気で雪を降らせたときの破壊力は凄まじいものだ。一晩で50センチという積雪もある。
このような吹雪のあとは、当然駐車場の車にも雪が積もる。
運転前には屋根の雪下ろしをしなければならないが、この時にルーフレールがあると、怒りを覚えるほど邪魔なのだ。
ルーフレールがあるために、車の側面からの雪下ろしが出来ないからだ。
雪下ろしが不便であるがゆえに、適当に雪が残ったまま走り始めることにもなりかねないが、これは雪道走行時に、絶対にやってはいけないこと。
なぜなら、走行中に屋根から落ちた雪が、フロントガラスを覆ってしまうことがあるからだ。
この恐ろしさは、経験してみないとわからないだろう。
雪道の走行に慣れたベテランドライバーならいざ知らず、経験の浅い若いドライバーには、車の屋根に積もった雪下ろしの重要性には無頓着だろう。
我が家には、免許を取り立ての若者がいるが、彼がスキー場に行く際のリスクを少しでも減らすということも、筆者がルーフレールを付けなかった理由の一つだ。
洗車が面倒くさい
ルーフレール付きの車両は、洗車時の屋根の洗浄が面倒くさい。
洗車を考えたとき、車は突起物が少ないほどいいのだ。
デコボコがあるほど、そこには汚れが溜まりやすくなる。
ルーフレールと屋根の接合部は、年々汚れが溜まって、黒ずんで来る。
しかも、洗車スポンジが届かないので、汚れを落としづらい。
この洗いづらい部品が、よりによって屋根の上についているのだから、いくら洗車好きなドライバーでも、そうそう行き届いた手入れは難しいだろう。
例えば、鳥の糞がルーフレールと屋根を繋ぐ部分に付着した場面を想像してみても、気が重くなる。
ルーフレールがあると、洗車が面倒くさくなるのだ。
車体価格が高くなる
ルーフレールはオプション品なので、装着をすれば当然車両価格が高くなる。
スバルXVの場合、5万円高くなる(2017年モデル2代目の場合)。
例えば、2017年モデル2代目の1.6i-L EyeSight(GT3C5VC)の車両価格は、ルーフレールの有無で下記のようになる。
ルーフレールの有無 | 車両価格 |
---|---|
ルーフレール無し | 210万円 |
ルーフレール有り | 215万円 |
車両価格が、約2.3%高くなるのだ。
この価格差をどう考えるか?だが、飾りのために2.3%も値段が高くなるのなら、他の部品に予算を振り向けたほうが賢明だろう。
車高が高くなる
ルーフレールをつけると、車高が高くなる。
車高が高くなって一番困る問題は、立体駐車場の利用だろう。
ワンボックスから乗り換えた筆者にとっては、車高の高さはあまり気にならないのだが、利用できる駐車場が制限されるという意味では看過出来ない問題かもしれない。
確かに、日産エルグランドに乗っているときには、立体駐車場の利用は躊躇したものだ。
街乗りが中心の普段使いドライバーにとっては、車高をかさ上げしてしまうルーフレールは無用の長物なのかもしれない。
スバルXVのルーフレールは見た目をカッコつけるための装飾品と割り切ること
かつて、ルーフレール付きの車に乗ったことのある筆者がハッキリと言えば、ルーフレールなんてものはタダの飾りだということだ。
但し、スバルXVのようなSUV車のビジュアルをアピールするには、効果的な装飾品だと思う。
それは、街中ですれ違うルーフレール付きのスバルXVを見ると、カッコいいなーと感じるからだ。
実用的には、降雪時の雪下ろしや、洗車時のメンテナンス性などを考慮すると、むしろルーフレールなど無い方が良いだろう。
特に、運転経験の浅いドライバーには、ルーフレールはおすすめできない。
子供が免許を取得して、若葉マークを付けている我が家の場合は、ルーフレールを付けなかったし、ルーフレールが無いことで不便に思ったことは一度も無い。
ルーフレールのようなメーカーオプションは車を注文した後に、思い付きで後付けが出来ない部品だ。
新車購入時にしか選択できない点も、ルーフレール装着の決断を悩ませる要因だろう。
だが、車にとって最も重視すべきは「安全性」である。
大雪や大風など、非日常での運転を考えたとき、ルーフレールは必ずしも必要なオプションでは無いのだろう。
「乗る人すべてに安全を」というスバルの素晴らしいコンセプトに共感したユーザーにとって、スバルXVの屋根にルーフレールを付けるか否かなどということは些末なことなのかもしれない。